医療機関の方へ 当科の診療について Highlight in our service

ここでは、当科の診療について詳しくご紹介いたします。

診療体制の概要

リウマチ・膠原病内科は2014年8月に開設された診療部門です。2019年4月からは、診療医員を17名に拡充し、専門医療を提供しております。当科で扱う疾患は関節リウマチをはじめとした炎症性骨関節疾患、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎/皮膚筋炎、ベーチェット病、各種血管炎症候群など多岐に渡ります。総合診療科や救命救急センター、内科他部門、皮膚科、眼科、整形外科・リウマチ外科をはじめ多くの診療科から1日3~4名ご紹介(院内紹介)を頂いています。また、他の医療機関からも1日平均1人ご紹介(院外紹介)を頂いております。症状・検査値異常あるものの未診断の場合もあれば、すでに診断がついたものの専門的な治療が必要な場合もあります。

また、膠原病は呼吸器、循環器、腎臓、神経、消化器、血液、皮膚、骨関節など全身に障害をきたすため、専門診療科にコンサルトすることも数多くありますが、日本医科大学付属病院は院内の連携が大変スムーズであり、患者さんご本人にとって良質の医療サービスを受けられる点で何よりの強みです。当科では、他の医療機関とも、院内診療科ともますますの緊密な連携を構築して参ります。

リウマチ・膠原病専門医療施設としての特性

リウマチ・膠原病内科では、以下のように診療科としての特性を3つ持っております。

1つ目は、不明熱や原因不明の炎症反応高値等、他科・他医療機関での診断困難例をリウマチ・膠原病疾患を中心にとした視点から多角的に鑑別診断を試みる点です。

2つ目は、全身を診るという点です。身体所見は頭の先からつま先まできちんと観察し、治療方針を決める際は標的臓器だけでなく、全身の諸臓器に配慮して適応を決めます。合併症を含めた全身評価も踏まえた上で、個々の患者に対して長期の機能・生命予後の改善を目指した診療を実践しています。

3つ目は、新規治療薬の適正使用です。最近リウマチ・膠原病領域に次々と新しい治療薬が導入されていますが、これらを用いることで、発症早期で寛解に持ち込み、再燃を防ぎ、臓器の機能障害を最小限に抑えることが可能になってきました。新規治療薬を適正かつ安全に使用し、治療成績の向上に尽力しています。

これらの特性を発揮し、私たちは、専門医療施設として最善の医療サービスを提供できるよう努めております。

特に力を入れている専門診療

膠原病全般について幅広く対応していくのはもちろんですが、日本医科大学付属病院としての強みを生かし、他には類を見ない、国内屈指の専門医療も展開しております。

膠原病に伴う肺高血圧症

膠原病に伴う肺高血圧症で詳細をご説明します。こちらをご覧ください。

膠原病に伴う間質性肺炎

私たちのグループは、強皮症、多発性筋炎/皮膚筋炎の新規自己抗体を見出し、合併しやすい臓器病変や予後との関連を明らかにしてきました。間質性肺炎のスペシャリストがいる呼吸器内科と連携し、疾患特異的自己抗体と高分解能CT所見によって病型分類を行い、それぞれの病型に合った合併症検索や治療戦略を実践しています。

膠原病に伴う末梢循環障害

膠原病では、強皮症、血管炎症候群、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、抗リン脂質抗体症候群、ベーチェット病などの患者さんで、非常に難治性の末梢循環障害を呈することがあります。血管拡張薬を使用しても進行を止められない上に、膠原病では血行再建術の難度が高く、指の切断術を回避できない症例もあるのが現状です。

当院には再生医療科を中心に、放射線科、皮膚科、心臓血管外科、形成外科で末梢循環のスペシャリストが連携する体制が完備されており、他の医療施設にはない、あらゆる治療の選択肢を提案できます。

強皮症

国内トップクラスの患者数を誇ります。強皮症は血管病変や線維化病変など多彩な臓器病変が出現する一方で、他の膠原病にあるような免疫抑制療法への反応性が乏しく、今でも難治性疾患の一つです。全身を診る丁寧な診療と、最先端の薬剤の臨床試験の推進により、症状・QOL・生命予後の改善に取り組んでいます。

ベーチェット病

ぶどう膜炎のスペシャリストがいる眼科と連携しています。これまでぶどう膜炎に対してインフリキシマブ、腸管型ベーチェットに対してアダリムマブが適応を取得していましたが、2015年には、ベーチェット病の特殊病型(腸管型・神経型・血管型)に対して、インフリキシマブの適応が追加になりました。治療の選択肢が広がり、治療成績の向上が期待できます。

他にも、乾癬のスペシャリストがいる皮膚科、神経免疫のスペシャリストがいる神経内科とも連携しています。

臨床試験(治験)の推進

近年、関節リウマチに対する新薬の登場が大きなインパクトを残しました。しかし、その他の膠原病では、まだまだ有効な薬剤が乏しいのが現状です。世界的には今も多くの薬剤が開発され、国際共同治験も近年可能になり、一部ではいわゆる海外との時間差(ドラッグ・ラグ)も改善されつつあります。私どもは、患者さんの治療の選択肢を少しでも増やすため、強皮症、ベーチェット病を中心に積極的に臨床試験に参加しております。レイノー現象、抗核抗体陽性を呈する患者さんや年3回以上口内炎を繰り返す患者さんがいましたら、ぜひご紹介ください。