アレルギー膠原病内科(リウマチ・膠原病内科)の紹介 研究テーマ Research
アレルギー膠原病内科(リウマチ・膠原病内科)が研究しているテーマと、研究内容を紹介いたします。
新しい診断法・治療法の開発を追求し、国際的にトップクラスの研究実績
膠原病・リウマチ性疾患は、近年治療薬の選択肢が増えましたが、まだまだ解明されていないこと、治せない病態が山のようにあります。大学病院の使命として、多彩な疾患を幅広く診療するのも重要ですが、同時進行で一つでも多くの新しい診断法、治療法の開発を行う使命があります。
我々は、「自己免疫・炎症の制御と適切な組織修復の促進」をメインテーマとして研究を展開し、すでに複数のプロジェクトで、国内はもとより国際的にもトップクラスの研究実績があります。特に下記のような分野について研究を積極的に推進・展開し、膠原病分野に少しでも貢献したいと考えております。
当科で進行中の研究テーマ |
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自己免疫疾患発症における免疫制御機能の破綻メカニズムの解明 |
リウマチ性疾患における免疫担当細胞の機能解析 |
膠原病難治性病態の出現・予後予測に有用なバイオマーカーの検索 |
間質性肺疾患の病態における末梢血由来細胞の役割の検討 |
関節リウマチの画像診断 |
ベーチェット病の診療ガイドライン作成 |
ベーチェット病の疫学と臨床的・遺伝的病型分類 |
多発性筋炎・皮膚筋炎合併間質性肺炎の予後不良因子の同定 |
多発性筋炎・皮膚筋炎合併間質性肺炎における三剤併用療法の有効性の検討 |
膠原病に伴う肺高血圧症 |
強皮症における間質性肺疾患・血管病変の病態解明 |
その他の膠原病臨床 |
研究内容のご紹介
リウマチ性疾患における免疫担当細胞の機能解析
長年に渡り、ベーチェット病、SLEなどを中心にリウマチ性疾患のリンパ球はじめとした免疫担当細胞の病態における役割を検討してきました。現在、M1/M2マクロファージ機能の解析を中心に研究を継続しています。
Kishimoto D, Kirino Y, Takeno M, et al. Arthritis Research & Therapy 2018, 10;20(1): 64関節リウマチの画像診断
超音波検査やPETなど画像ツールを用いた関節リウマチの診断、病状評価、骨破壊との関連を検討し、報告してきました。
Yoshimi R, Takeno M, Toyota Y, et al. Mod Rheumatol. 27(2):257-265, 2017.ベーチェット病の診療ガイドライン作成
長年、厚労省ベーチェット病研究班の班員として、ベーチェット病の基礎的、臨床的研究に携わってきました。近年、研究班が最も力を注ぐ診療ガイドラインの作成に関しては、血管型および妊娠授乳期の治療のリーダーを務めるほか、神経型、腸管型にも関与しております。近日中に完成予定です。
Ishido M, Horita N, Takeno M, et al. Sci Rep 7(1):10196, 2017
ベーチェット病の疫学と臨床的・遺伝的病型分類
指定難病移行前のベーチェット病特定疾患個人調査票や横浜市立大学との共同研究コホートを解析し、臨床的亜型分類を検討しています。今後、疾患感受性遺伝子との関連を解析し、病型別の病態を解明した上で、将来的なprecision medicineにつなげていきたいと考えています。
Ishido T, Horita N, Takeno M, et al. Rheumatology (Oxford). 56(11):1918-1927, 2017
多発性筋炎・皮膚筋炎合併間質性肺炎の予後不良因子の同定
国内の多施設後ろ向きコホートであるJAMIコホートに登録された499例の多発性筋炎/皮膚筋炎合併間質性肺炎症例のデータを用いて、予後不良因子としての筋炎特異自己抗体及び血清バイオマーカーの解析を行いました。抗MDA5抗体陽性、CRP ≥1.0mg/dl、Ferritin ≥500 ng/ml、KL-6 ≥1000 U/mlの4つが予後不良因子として同定されました。今後は、前向きに予後不良因子の同定を検討する予定です。
2017年第61回日本リウマチ学会総会・学術集会ワークショップ
多発性筋炎・皮膚筋炎合併間質性肺炎における三剤併用療法の有効性の検討
国内の多施設後ろ向きコホートであるJAMIコホートに登録された499例の多発性筋炎/皮膚筋炎合併間質性肺炎症例のデータを用いて、ステロイド(CS)、カルシニューリン阻害薬(CNI)、シクロホスファミドパルス療法 (IVCY)による三剤併用療法の有効性について検証しました。Propensity score matching法を用いて、三剤併用療法群と非併用療法群で患者背景をマッチングさせ、生存率の比較を行った。予後不良因子が比較的少ない症例では、三剤併用療法が有効である可能性が示唆されました。今後、予後不良因子を多く有する症例での新規治療法を検討する予定です。
2018年第62回日本リウマチ学会総会・学術集会ワークショップ
膠原病に伴う肺高血圧症
日本人の膠原病に伴う肺高血圧症症例の臨床特徴や予後予測因子、重症例に対するエポプロステノール治療の成績、血管拡張薬使用時に酸素化悪化を生じうる注意すべき併存臓器病変、免疫抑制療法の有効性についてさらに探求する予定です。
Shirai Y, Kuwana M. J Scleroderma Relat Disord. 2017;2:92-9.
Yasuoka H, Shirai Y, et al. Circ J. 2018;82:546-54.
強皮症における間質性肺疾患・血管病変の病態解明
強皮症では、肺胞上皮や血管内皮が恒常的に傷害され、正常な組織修復がなされず、そのため末梢血管、肺動脈、肺などの組織構築が変化し、臓器の機能が低下します。その病態機序に関わる分子の研究や、新知見に基づいた新規治療法の開発を行っています
Shirai Y, et al. Arthritis Rheumatol. 2015;67:498-507. 6.
Kuwana M, Shirai Y, et al. J Rheumatol. 2016;43:1825-31
その他の膠原病臨床
国内他施設共同研究への協力、教室内の若手が興味をもった研究テーマの助言や執筆指導も行っています。
Sugiyama Y, Yoshimi R, Takeno M rt al. Arthritis Res Ther. 2018 ;20(1):7